復職を検討している看護師へ
最近の医療業界の動向を知るには直近の診療報酬改定を確認するといいでしょう。ここでは2020年度に行われた診療報酬改定のポイントをまとめています。今回の改定では「オンライン診療の規制緩和」や「働き方改革」に大きな注目が集まっています。在宅医療の需要が高まっていますが、訪問看護師の数はまだ足りていない状況です。その問題を解決するために今回、「配置基準に定められた看護職員のうち1名は非常勤を常勤換算してもよい」と人員配置が見直されました。また、今回の改定では特定看護師にも大きな注目が集まっています。
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2020年に行われた改定のポイント
2020年度の診療報酬改定では世間から大きな批判を受けていた「妊婦加算」が廃止されました。妊婦さんは特別な配慮が必要なため、妊婦加算が必要だとして2018年度の診療報酬改定で追加されました。しかし、産婦人科と関係のない眼科や耳鼻科を受診しても妊婦さんというだけで会計に加算される状況に納得できない人が多かったのです。世間の批判を受けて妊婦加算は2019年の1月に凍結されていましたが、今回の改定で廃止されることが決定しました。その代わり代替措置が新設されています。
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在宅医療・訪問看護への影響
かかりつけ医以外の医師が訪問診療を行う場合は「6ヶ月まで」という制限が設けられていました。ですが、今回の改定によってかかりつけ医と情報を共有しながら診察した場合、要件を満たしていれば12ヶ月以上も算定できるようになったのです。これにより、複数の疾患があっても専門的な診察が受けられるようになりました。また、医師も制限を気にすることなく診察できるので力を発揮しやすくなるでしょう。医療依存度が高い人は病院に入院するのが一般的でしたが、自宅で専門的な診察が受けられるので入院する必要がなくなりました。
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特定看護師に注目が集まる
特定看護師になるには指定された専門機関で特定行為研修を受けなければなりません。専門機関はこれまで34都道府県に69機関しかありませんでしたが、特定看護師に対する期待が高まっていることもあり年々その数は増えています。厚生労働省が発表した2019年の資料によると専門機関は44都道府県に191機関でした。まだ設置されていないのは、山梨県、愛媛県、宮崎県の三県です。特定看護師の需要が高まっている今、三県への早期指定が期待されています。