診療報酬とは?
病院などの医療機関での診察や治療、薬局での薬の処方、といった医療行為を受けたときにかかる費用のことを医療費といいます。一方、診察・治療をした医療機関や薬を処方した薬局が提供した医療行為の対価として受け取るのを診療報酬といいます。診療報酬は全額、患者さんが負担するわけではありません。全体のうち1~3割は患者さんが、残り7割は患者さんが加入している国民健康保険や健康保険組合、全国健康保険協会などが支払います。
医療行為の価格は、提供する病院や薬局が任意で決定できます。ただし、国によって医療行為や医薬品代の値段は細かく定められているため、法外な金額が要求されることはありません。国が定めた価格表にもとづいて決定した医療費も「診療報酬」と呼ばれています。
つまり、診療報酬とは、「医療行為や医薬品などの対価」と、「医療に関する価格表や制度そのもの」を指しているのです。
診療報酬は「大切な資源」
病院や薬局が対価として受け取った診療報酬は医療従事者の収入以外にも充てられます。職員の人件費や医薬品、機器・機材・設備など、病院や薬局を維持するために使われます。診療報酬は患者さんが病院で治療を受け、薬局で適切な薬を購入するために必要な、「大切な原資」というわけです。
医療の仕組みを保つ土台
患者さんが負担する医療費は全体の1~3割ほどです。もし、自己負担額が大幅に増えたらどうなるでしょうか。治療費を払えなくなってしまう可能性も出てくるため、必要なときに適切な治療が受けられなくなるかもしれません。診療報酬制度が適正に運用されていることで、私たちの健康が守られているのです。
また、自己負担額が増えると病院を受診する人の数が少なくなってしまうため、病院の収入が減少してしまいます。その場合、病院は治療費が払える富裕層だけを対象にした高度で高額な医療のみを扱うようになる可能性があります。結果としてますます一般の人が受診しにくくなってしまうため、医療の仕組みそのものが崩れてしまうでしょう。
健康であることが何よりも大切
健康を損なうと家族や家計に大きな影響が出ますが、それは地域にとっても同じことがいえます。住民が健康でなければ、地域の産業や経済は成り立ちません。過疎化が進む地域では病院や診療所の閉鎖が相次いでおり、病気やケガをしても適切な医療行為をすぐに受けられず、重症化してしまうケースも少なくありません。