まずは概要を紹介
医療行為や医薬品に対する診療報酬は、2年に一度のペースで見直されます。なぜなら医療の進歩や世の中の経済状況は刻一刻と変わり、同じ状況が続かないためです。貧困層を救済する目的で作られた健康保険制度ですが、今後も医療制度を存続させるためには、診療報酬の改定が適切に行われることが大切です。そのためにも、1人ひとりが診療報酬制度について理解し、どのような点を変えていく必要があるのかをしっかり考えなければなりません。
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なぜ診療報酬が必要なのか
病気になったり、ケガをしたら病院に行って医師に診察してもらい、看護師に処置をしてもらって、薬局で薬を受け取るのが当たり前となっていますが、それが可能である理由は医療の仕組みを保つ診療報酬制度がしっかり機能しているためです。診療報酬とは、医療行為や医薬品などに対する対価であり、医療に関する価格表や制度そのものでもあります。ですが、病院や薬局は対価として受け取った診療報酬がすべて収入になるのではありません。人件費や設備費、医薬品の購入費など、病院や薬局を維持するために使われます。
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金額はどのように決められるのか
診療報酬は公的価格です。国が細かく値段を定めており、全国一律同じ金額です。そのため、患者さんは地域に関わらずどこで診察や治療を受けても同じ金額を支払います。診療報酬は医療行為ごとに点数化されています。診療報酬の金額を表にした診療報酬点数表は一般にも公開されているため、私たちも確認することが可能です。金額の設定方法には出来高払い方式と包括払い方式がありますが、規模の大きな病院では過剰医療を防ぐために、包括払い方式を採用しているところがほとんどです。
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これまでの歴史
ここではなぜ診療報酬ができたのか、その歴史を紹介しています。診療報酬制度が普及する前までは、医療費は患者さんが全額自己負担するものでした。富裕層は満足のいく治療が受けられますが、貧困層は治療を受けることすらできない状況だったため、貧困層の人たちを救済する目的でスタートしたのが健康保険制度です。診療報酬はまず公立病院や薬剤師が工程額を受け取り、残りを日本医師会が受け取って会員の私立病院や開業医に分配しました。分配する方法として考え出されたのが点数表です。