看護必要度の変更
急性期などの患者さんには手厚い看護が必要であるとして、「手のかかり具合」を測るための指標として導入されたのが「看護必要度」です。看護必要度はA「モニタリング及び処置等」、B「患者の状況等」、C「手術などの医学的状況」の3項目で構成されています。
B項目の評価方法が変更
2020年度の診療報酬改定で一番変更が大きかったのがB項目です。B項目は「寝返りができる・できない」「移乗の介助が必要・不必要」「食事摂取が自力でできる・できない」「危険行動がある・ない」など、患者さんのADLに関する評価です。
これまでは「寝返りができる=0点」「寝返りを何かにつかまればできる=1点」「寝返りができない=2点」というように、患者さんの状態とどの程度の介助が必要なのかをまとめて点数化していましたが、今回の診療報酬改定ではそれぞれ分けて評価するよう変更されたたのです。これにより、患者さんの状態がさらに分かりやすくなり、看護記録で残しておくために必要な根拠となる記録も不要になりました。「根拠となる記録」は日々の看護記録の中で書けばよいものですが、実際は監査対策用として普段の記録とは別にまとめるように指導されたり、記録する内容が曖昧であったりと、看護師に大きな負担がかかります。今回の見直しではこのような二度手間を省き、負担を減らすことを目指しています。
A項目、C項目の評価期間が延長
A項目の内容は「創傷処置」「呼吸ケア」「点滴ラインの管理」「心電図モニターの管理」「輸血や血液製剤の管理」「専門的な治療や処置」「救急搬送後の入院」などで、C項目の内容は「開頭手術」「開胸手術」「開腹手術」「骨の手術」「全身麻酔の手術」などですが、診療報酬改定によって評価期間、つまり点数が付く期間が延長されることになりました。例えば開頭手術の場合、患者さんが入院するのは26日前後ですが、これまでの評価期間は7日間だけでした。ですが、変更後は13日間に延びるため、病棟看護師の術後ケアがより評価される形となったのです。
今回の大きなポイント「重症患者さんの基準変更」
今回の診療報酬改定で一番大きなポイントが重症患者さんの基準が変わることです。これまでは「A項目2点以上かつB項目3点以上」「B項目の診察の指示が通じる、危険行動に該当し、かつA項目1点以上・B項目3点以上」「A項目3点以上」「C項目1点以上」のいずれかを満たす患者さんが重症患者さんとして扱われていました。しかし、高齢化に伴い、急性期病棟でも認知症の患者さんが増え、このような患者さんを重症とするには違和感があるという声が多くありました。今回の診察報酬改定では「B項目の診察の指示が通じる、危険行動に該当し、かつA項目1点以上・B項目3点以上」の項目は対象外となりました。